慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH:chronic thromboembolic pulmonary hypertension)とは、肺動脈の器質化した血栓が慢性的に狭窄や閉塞を起こし、それが原因となって肺高血圧症をきたしたものです。
以前は重症例に対しても酸素投与などの対処療法しかなく、肺動脈圧が高いほど予後不良とされてきましたが、近年は新規薬剤も使用可能となり、肺血栓内膜摘除術(PEA)やバルーン肺動脈形成術(BPA)などの治療によって症状や生命予後を改善させることが可能になっています。
熊本大学病院循環器内科では山本英一郎医師を中心に、肺高血圧の重症度、血栓の形態や部位、合併する疾患や患者様の状態を丁寧に評価して、BPA, PEA, 薬物療法のどれが患者さんにとって適切かを専門的に評価して治療方針を決定しており、適応のある患者さんに対して積極的にBPAを施行しています。CTEPHに対するBPAは、入院期間が短く、低侵襲、有効性も高い優れた治療で、これまでもBPAにて平均肺動脈圧が低下し運動耐用能が改善することが多くの施設から報告されています。